46th meeting
「平等」
Core Talk Cafe meeting

開催場所

喫茶茶会記(四谷三丁目)

テーマ選択の背景

様々な場面で耳にする「平等」。それは小学校の教室内でも飛び交うこともあるし、国の標語として掲げられることもあります。
また、最近の出来事で言えば、世界中を揺るがせたパリ新聞者襲撃事件の際、標的となったシャルリー・エブドも「あらゆるものの平等な風刺」を主張しています。
人々から大切にされている「平等」。今一度立ち止まって、その内実を対話してみたいと思い、このテーマを選択いたしました。
   

当日の様子

 冒頭で皆さんに「平等」にまつわる短めのコメントをお願いしたところ、「公平・公正とのちがいは?」「平等には弊害もあるのでは」などの意見のほか、教育の平等、ジェンダー間や兄弟間の平等、不平等解決へ向かう動的なプロセス、宗教の前での平等など、様々な観点をいただきました。
 まず、定義を共有すべく「公平」「公正」との区別に注目しました。「公」がつくこれらの言葉はお役所言葉で「平等」はそれよりも広義なのでは、とか、「公正」「公平」は社会的・経済的な分配に関する言葉なのでは、という意見が出ました。
 議論が進むうちに、「平等」のもつある種の強引さ、「多様性」を犠牲にしてしまうような暴力性の方に焦点が移っていきました。「平等」を掲げることで、「正義っぽさ」と、利害を共にする「仲間」を得ることができるので、「平等」とは、強者(必ずしも多数派ではない)が不満を解消するための「ツール」なのではないか、と。この意見に対して、「平等」はツールとして使用するようなものではなく、常に出発点となるような「理念」なのでは、という意見もありました。各種の「差別」撤廃を勝ち取ってきた歴史への参照も促されます。
 これら二つの意見が対比されてからは、「平等は目指すべきか否か」という問いの吟味へと話題が移っていきました。全体を均一化する「平等」よりも、ある種の「独裁」状態の方がよりよいと言える場合もあるのでは、という意見が、複数人での仕事の現場のような具体例とともに挙げられ、「いい平等と悪い平等」があるのでは、とか、制度的な「平等」と人々の感情や意識のなかでの「平等」は別であることなどがカースト制を参照しながら議論され、「平等と幸福」あるいは「平等と納得感」の関係について考察を深めていきました。
 その後、「平等」は「選択の自由」とセットであり、選択肢を知ったり選ぶための知識を得たりする機会の平等が最も大切なのでは、という意見が出され、「平等」と「啓蒙」の関係が示唆されました。改めて、冒頭のコメントで出された「教育の平等」に皆の意識が向いたところで、残念ながらタイムアップとなりました。
Core Talk Cafe digest

Digest of digest

「平等と公正は違う?」
「多様性と平等は両立するの?」
「平等と自由の関係は?」

Book Guide

『人間不平等起源論』 J.Jルソー『人間不平等起源論』(光文社古典新訳文庫)
J.J.ルソー
光文社古典新訳文庫

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